2014年08月26日

コード進行の中での音の高さを考える 〜「So What」のボイシングを題材に(1)

音楽の専門教育を受けていない私の個人的な経験からすると、
「同時になっている複数の音に対して音程をどうするか(和音の構成音それぞれの高さをどうするか)」
という事を良く話題にするのに比べて、
「前の和音の構成音それぞれの高さに対して次の和音の構成音それぞれの高さがどうあるべきか」
という話は余りしないような気がします。
また、長三和音(メジャートライアド)や短三和音(マイナートライアド)といった単純な和音の構成音それぞれの高さについて考える事はあっても、より複雑な和音については考える機会が余り無いように感じています。
(もちろん、音楽の専門教育を受けていたり、非常に意識の高いバンドに参加していたりすれば別なのでしょうけれども。)


これから、具体的な例を挙げて、コード進行の中での音の高さを検討しようと思います。
(何か不備があれば是非ご指摘下さい。)

その際に、まず「各音の周波数比が単純であればあるほど、より協和した音程である」と前提します。
(私は経験的に恐らくそうだろうと思いますが、何故そう感じるのかは分かりません。…差音が影響しているのでしょうか?)

いくつか具体的に音程と周波数比を挙げると以下のようになります。

○完全1度→周波数比 1 : 1
○完全8度→周波数比 1 : 2
○完全5度→周波数比 2 : 3
○完全4度→周波数比 3 : 4
○長3度→周波数比 4 : 5
○短3度→周波数比 5 : 6

このような周波数比になっているときに普通は「合っている」と感じるはずです。

(金管楽器奏者には、このお馴染みの倍音列の表(一番左がその管の長さで出る一番低い音で、金管楽器はその音の振動数の整数倍の音が出せる。)を見ると理解しやすいかと思います。)
harmonics.jpg


まずは、Miles Davis作曲の「So What」のテーマのバックグラウンドの構成音について検討してみます。

so_what_voicing.jpg

譜例にあるとおり、「So What」のテーマのバックグラウンドのボイシングは、下から完全4度・完全4度・完全4度・長3度と和音が積み重なっていて、それが平行して長2度下がります。

初めの和音の構成音それぞれの周波数比は、
完全4度が 3 : 4 であることから、
構成音それぞれの周波数をE,A,D,G,Bとすると、
E : A = 3 : 4 , A : D = 3 : 4 , D : G = 3 : 4

長3度が4:5であることから、
G:B = 4:5
まとめると、
E : A : D : G : B = 3x3x3 : 4x3x3 : 4x4x3 : 4x4x4 : 4x4x5 = 27 : 36 : 48 : 64 : 80
となります。

ただ、Eの完全8度高い音(周波数が2倍の音)とBの周波数比は、
2E : B = 2x3x3x3 : 4x4x5 = 27 : 40
となり、完全5度の周波数比2 : 3から少し外れます。

これを2 : 3に合わせようとすると、他のどこかの周波数比が狂ってきます。

(EとGに関しても2E : G = 2x3x3x3 : 4x4x4 = 27 : 32 となり5:6から外れていますが、これも合わせようとすると、同様に他のどこかの周波数比が狂ってきます。)

全ての音程関係がぴったり合うようにする事は不可能のようなので、隣り合う音との関係(完全4度・長3度)が合っているこの状態で良しとします。


この後、この和音を長2度下げる場合に、どのくらい下げるべきなのかを検討します。
posted by はけた(^-^) at 11:21| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: トランペットの羽毛田耕士さんが、音律に関する、とても面白い話を展開されています。 コード進行の中での音の高さを考える 〜「So What」のボイシングを題材に(1) http://haketa.se..
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