2014年08月30日

コード進行の中での音の高さを考える 〜「So What」のボイシングを題材に(2)

さて、前回は「So What」のテーマのバックグラウンドのボイシングが「全ての音程関係がぴったり合うようにする事は不可能」という結果が出ました。
私はこのボイシングが好きで色々な場所で使っていたので、ぴったり合わせようが無いという結論になった事に多少ショックを受けています(-_-;。

(まだ検討の余地はあるのですが、一応)高い音から長3度・完全4度・完全4度・完全4度の関係を正確に取るのが良い、という事を前提として、今回は本題の「次の和音の構成音それぞれの高さをどうするか?」という事を検討します。

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so_what_voicing.jpg

Miles Davis作曲の「So What」のテーマのバックグラウンドの最初の和音の構成音の周波数比が、

E : A : D : G : B = 3x3x3 : 4x3x3 : 4x4x3 : 4x4x4 : 4x4x5 = 27 : 36 : 48 : 64 : 80

であるとした場合、次の和音の構成音はそれぞれ長2度平行に下がっているので、
構成音それぞれの周波数をD', G', C', F', A'とすると、

D’ : G' : C' : F' : A' = 3x3x3 : 4x3x3 : 4x4x3 : 4x4x4 : 4x4x5 = 27 : 36 : 48 : 64 : 80

となります。


(1) 最初の和音から次の和音に変わる際、他にDの音が持続して鳴っていると仮定します。
(「So What」のテーマはちょうどDの音で伸ばしている箇所ですよね。)

持続しているDの音とバックグラウンドのDの音がぴったり合うようにすると、
DとD'がちょうど1オクターブ(周波数比2:1)の関係になるので、

D : D' = 4x4x3xa : 3x3x3xb = 2 : 1

となり、これを満たす最も小さい自然数a,bはa=9, b=8となります。

よって、

E : A : D : G : B : D’ : G' : C' : F' : A' = 3x3x3x9 : 4x3x3x9 : 4x4x3x9 : 4x4x4x9 : 4x4x5x9 : 3x3x3x8 : 4x3x3x8 : 4x4x3x8 : 4x4x4x8 : 4x4x5x8

となり、最初の和音の構成音は次の和音の構成音に変わる際にそれぞれ周波数が8/9倍になる事が分かります。


ここで、最初の和音の構成音と次の和音構成音で、1オクターブの関係になる3組の音、すなわちD→D'、G→G'、A→A'に着目します。
D→D'がちょうど1オクターブになる場合は先ほど検討した通りですが、その際G→G'、A→A'はそれぞれどうなっているかというと、
G : G' = 4x4x4x9 : 4x3x3x8 = 2 : 1
A : A' = 4x3x3x9 : 4x4x5x8 = 81 : 160
となり、G→G'はちょうど1オクターブ下がっていますが、A→A'は1オクターブより少し狭くなっています。

(その理由は、和音の構成音の音の高さを決める際においた前提と関係していると思われます。)


先ほど、Dの持続音を仮定した場合を検討しましたが、それがAだったらどうなるでしょうか?


(2) 最初の和音から次の和音に変わる際、他にAの音が持続して鳴っていると仮定します。

持続しているAの音とバックグラウンドのAの音がぴったり合うようにすると、
AとA'がちょうど1オクターブ(周波数比1:2)の関係になるので、

A : A' = 4x3x3xc : 4x4x5xd = 1 : 2

となり、これを満たす最も小さい自然数c,dはc=10, d=9となります。

よって、

E : A : D : G : B : D’ : G' : C' : F' : A' = 3x3x3x10 : 4x3x3x10 : 4x4x3x10 : 4x4x4x10 : 4x4x5x10 : 3x3x3x9 : 4x3x3x9 : 4x4x3x9 : 4x4x4x9 : 4x4x5x9

となり、最初の和音の構成音は次の和音の構成音に変わる際にそれぞれ周波数が9/10倍になる事が分かります。


この場合にD→D'、G→G'がどうなっているかというと、

D : D' = 4x4x3x10 : 3x3x3x9 = 160 : 81
G : G' = 4x4x4x10 : 4x3x3x9 = 160 : 81

となり、どちらも1オクターブ(周波数比2:1)より少し狭くなっています。
(この理由も、(1)の場合と同様かと思います。)


(3) Gの持続音を仮定した場合は、Dの持続音の場合と同じになります。(説明は省略します。)

ここまでで、バックグラウンドの和音が長2度下がる場合に、その「長2度をどのぐらいの幅にするのが良いのか」が「(持続音があるとした場合に)持続音が何の音なのか」によって変わってくるだろうという結論に至りました。


(ここから、周りの音を聴きながら極力正確に演奏しようとしている場合、メロディーがDを持続音に選んだり、Aを持続音に選んだりすることによって、バックグラウンドのピッチが全体に上がっていったり、下がっていったりする事になるのですが…。)


(4) それ以外の持続音がある場合については、その音と和音の構成音との音程関係をどう定義するかが煩雑になるので、今回は検討しません。


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演奏する際に「正確なピッチ」で演奏しようという気持ちを常々持ちながらも、実現するのは難しいと感じているわけですが、そもそも何が正確なのかという事でさえ分からなかったりするのですよね…。
posted by はけた(^-^) at 18:26| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: トランペットの羽毛田耕士さんが、音律に関する、とても面白い話を展開されています。 コード進行の中での音の高さを考える 〜「So What」のボイシングを題材に(1) http://haketa.se..
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